Cantilevered Lounge Chair

Designer : Poul Kjaerholm(ポール・ケアホルム)

Year : 1953

Material : steel wire

Size : W610×D580×H660 (mm)

ケアホルムの成型材を使った作品の中にはアルミニウムチェアのように座面と背もたれ、ベースが連続したシェルで構成された片持ち椅子のデザインがあります。ケアホルムはこのデザインの椅子を、ハリー・ベルトイアがチャールズ・イームズのために手がけたようなプラスチック、グラスファイバー、または溶接されたスチールワイヤーで成形することを想像しており、張り子と鋼線による実物大模型を製作しました。

一体成型の椅子の探求は、1950年代の共通の目標でもありました。彫刻家でありデザイナーでもあったグンナル・アーガード・アンデルセンが1953年に制作したモデルや、ゲリット・リートフェルトの木製チェア「ジグザグチェア」に影響を受けたことは間違いありません。

実際に製品化をすることはありませんでしたが、ケアホルムは翌年に鉄筋コンクリート製の屋外用家具 "ベトン・エレメンファー "を発表するなど、この研究は彼の作品に大きな影響を与えました。

彼はこの片持ち梁チェアの研究はのちのPK-9のデザインに生かされます。PK-9の土台に採用されている素材にかかる構造荷重によって弾力性を生み出すスプリング・スチールの構造はCantilevered Lounge Chairがもとになっています。

このケアホルムの研究は、ヴァーナー・パントンが自身の片持ち梁チェアのベースである「パントンチェア」にインスピレーションを与えたともいわれていて、ケアホルムは「パントンチェア」を自身の作品を盗作したと激怒したそうです。