Aluminum chair

Designer : Poul Kjaerholm(ポール・ケアホルム)

Manufact : Chris Sorensen(クリス・ソーレンセン)-R Gallery/Sean Kelly Gallery

Year : 1953

Material : Aluminum,steel

Size : W630×D670×H630 (mm)

1953年にケアホルムはアルミニウムを曲げ、シェルの内側に布張りを施した小型のラウンジチェアをデザインします。彼は椅子張り職人のクリス・ソレンセンとともに2脚の試作品を作り、デンマークの家具職人組合が主催する新しいタイプの布張りの椅子のコンペティションに出品し、一等賞を獲得します。この椅子は、曲げ加工された2枚のアルミニウムを布で張った構造となっていました。ファブリックの色は黄色、青灰色、赤のテキスタイルを使用してゲリット・リートフェルトの影響がみられます。布張りの後、2つのパーツはフランジを通し、鋼管でできた3本脚の土台に取り付けられています。この椅子は、ケアホルムの技術開発における重要な一歩となりました。構造はチャールズ&レイ・イームズの作品にヒントを得ています。現在、深緑色の試作品はパリのポンピドゥー・センターに永久所蔵されています。


その後ケアホルムはこの椅子をベースにしたスタッキングチェアの製作に取りかかります。アルミニウムの安価に成形できるという構造性能と独創的な成形でありながら、シンプルな製造方法を組み合わせることで大量生産を可能にすることを意識していました。


座面と背もたれをひとつのシェルに組み合わせた連続的で有機的なフォルムはケアホルムの作品の中で一番の作品です。

成形シェルをデザインした期間は短かったが、その結果は重大でした。その後ケアホルムは3本のスチール脚の上に成型シェルを乗せるという基本モデルをさらに発展させ、代表作のひとつであるPK-9のデザインへとつながります。


このアルミニウム製チェアの座面と背もたれは、エッジに沿って連続したフランジで補強された薄いシェルに一体化されていました。シェルの金型は2つの部分に分かれており、金属を注入し、発生したガスを逃がすための穴が3つ開いていました。その成型の際に空いた穴にスチール製の3本の脚を取り付けています。ケアホルムは、この椅子が大成功を収めることを確信し、折りたたみ式のパンフレットや広告をデザインし、マーケティング・キャンペーンをしました。しかしケアホルムの野心と準備にもかかわらず、この椅子が大規模に生産されることはありませんでした。1953年末に生産されたのは25脚足らずで、そのうちの数脚が春のデンマーク協会展に展示されました。

クリス・ソレンセンとのパートナーシップはすぐに破綻します。1955年11月のソレンセンからケアホルムへの手紙には文房具と販売用パンフレットをデザインしたケルホルムの請求書に異議を唱え、ロイヤリティの支払いを拒否したとあります。ソレンセンは、最初のロットの椅子はサンプルであり、生産品ではなく、ロイヤリティの対象にはならないと説明します。ケアホルムはサンプルをさまざまな家具販売業者に見せたがその椅子は「デンマークらしい」ものではなかったため、生産を引き受けてくれる業者は見つかりませんでした。


2007年には、この椅子の100脚と8脚の特別プルーフからなる限定版がニューヨークのRギャラリーとショーン・ケリー・ギャラリーから発売されました。