Lounge chair. PK-0

Designer : Poul Kjaerholm(ポール・ケアホルム)

Manufact : Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)

Year : 1952

Material : wood

Size : W750×D690×H730 (mm)

Poul Kjaerholm(ポール・ケアホルム) によりデザインされ、Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン) により製造がされています。 ブラックカラードアッシュとオレゴンパインのモデルが製造されています。

ケアホルムは1951年から「Element」のデザインが認められFritz Hansenで働くこととなりましたが、PK-0はケアホルムがFritz Hansenでのキャリアの中で最高の作品であり、終わりを迎えることになった作品でもあります。

1952 年後半までに、ケアホルムはFritz Hansenで自身が目指した最終的なデザインに到達し、そのプロトタイプをフリッツ・ハンセンのディレクターであるサレン・ハンセンに提案します。PK-0は金型の設計も完了し、大量生産の準備ができていました。しかしハンセン氏は、ケアホルムに工場はアルネ・ヤコブセンの「アント」チェア300脚の最初の注文に全力で取り組んでいると説明し、PK-0の生産を認めませんでした。 ケアホルムはPK-0の方が単一の素材を使用し、座面と脚が 1 つの要素であり革新的だと説明し、ヤコブセン氏の椅子と彼の椅子のどちらかを会社に選ぶよう選択を迫ります。 最終的にフリッツハンセンは「アントチェア」を選び、ケアホルムはフリッツ・ハンセンを去ることになりました。

それでもフリッツハンセンはケアホルムにPK-0のプロトタイプの使用を許可をします。 ハンセン氏もこの椅子が世に出ることを望んでいたのでしょう。1953 年中頃、ケアホルムはプロトタイプを黒に塗装し、専門家に写真を撮ってもらいました。 写真は1950年代後半から 1960年代前半にかけて、社説付きで数回出版されました。製作を求めるコメントもありましたが、ケアホルムの生涯にこの椅子は製作されることはありませんでした。

デザインされてから45年後の1997年に創立125周年を祝うフリッツ ハンセンは600脚限定でPK-0の生産をします。フリッツハンセンのロゴとエディションナンバーが記された銀のプレートが各椅子の下側に取り付けられ 、 001はフリッツ・ハンセンの椅子博物館に保管されています。それから26年後の2023年にPK-0は再度復刻生産がされ、フリッツハンセンのカタログに載ることになります。1997年の生産の際は座面と背もたれを結合する赤く塗られた木製のくさびは黒く塗られましたが、2023年の復刻では接合部は赤く塗られています。

PK-0は2枚の積層材を重ね合わせて作られています。素材を極限まで減らし、椅子の形状を最小限に抑えることで、低コストでの大量生産を可能にしました。3次元的なフォルムの作品を目指しましたがフリッツ・ハンセンはプラスチックやグラスファイバーを得意をしていなかったため、2次元的な2枚の積層材をつなげることで立体的なフォルムとしました。積層材の限界に基づいた革新的な椅子です。積層材を使用した代表的な椅子にイームズのプライウッドチェアがあります。彼の椅子に影響を受けながらもそのデザインを超えようとしたケアホルムの努力や美意識が感じられる作品です。