Hans J. Wegner
Hans J. Wegner(ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー)はデンマークで最も偉大なデザイナーです。生涯で500脚以上の椅子をデザインしており、その多くが名作として高い評価を受けています。ウェグナーは木エマイスターの資格を持った家具職人でもあったため、合理的で無駄のない美しいデザインが特徴です。
1914(0歳):4月2日にドイツ国境に近い ユトランド半島南部に位置するTonder(トナー)にて靴職人であるピーター.M.ウェグナーの子として生まれる。
1928(14歳):父親の靴工房の近くにあった家具工房(H.F. スタールベルグ)に弟子入り。工房では木工と指物作業(釘などの接合道具を使わずに、木と木を組み合わせて作られるもの)をマスターする。
1931(17歳):木エマイスター資格を取得。
1934(20歳):兵役に就くため、コペンハーゲンのあるシェラン島に移り住む。
1936-38(22-24歳):兵役解除後、テクノロジカル・インスティテュートにおいて約2カ月半の家具製作コースに参加。 その後コペンハーゲン美術工芸学校(スクール・オブ・アーツアンド・クラフツ)に進学し、家具デザインを学ぶ。そこでOrla Molgaard Nielsen(オーラ ・ ミュルゴー・ニールセン)に従事する。Kaare Klint(コーア・クリント)によるデザイン方法論を学ぶ。
1938(24歳):キャビネットメーカーズギルド展に初出展。家具職人Ove Lander(オヴェ・ランダー)により製造されたFirst Chairをデザインする。
1939(25歳):Svend Erik Møller(エリック・モラー)、 Flemming Lassen(フレミング・ラッセン)の事務所にて勤務する。
1940(26歳):インガと結婚。Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)とSvend Erik Møller(エリック・モラー)の建築事務所に勤務し、ニューボー図書館やオーフス市庁舎で使用する家具をデザインする。Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)との協力関係をはじめる。Rostrum(演説台) JH-700をデザインする。
1943(29歳):オーフスにデザイン事務所を開設。
1944(30歳):ボーエ・モーエンセンの長男ピーターにPeters table & chairをデザインする。China chair (FH4283)・Rocking chair.J16をデザインする。
1945(31歳):ボーエ・モーエンセンと共同でキャビネットメーカーズギルド展に参加する。Arm chair.FH1788・Chainese chair.FH66(PP66)・Tray table.AT35(PP35)をデザインする。
1946(32歳):Chinese bench.PP 266をデザインする。
1947(33歳):コペンハーゲンに拠点を移し、 コペンハーゲン美術工芸学校で4年間教鞭を執る。長女マリアンヌ誕生。Peacock Chair.JH 550・Chinese table.PP 76/130をデザインする。
1948(34歳):MOMAのローコストファニチャーコンペで入選。
1949(35歳):Shell chair(prototype)・Chair(prototype FH)Sewing table.JH・ The Chair.JH 501・Folding chair.JH 512・Wishbone Chair.CH 24をデザインする。
1950(36歳):次女エヴァ誕生。アメリカの雑誌『Interiors』にThe Chair.JH 503やPeacock Chair.JH 550が紹介される。Easy chair.CH22・Cupboard.CH 304・Easy chair.AP16・Easy chair.GE 260・Easy chair.GE 260A・Easy chair.270・Sofa.GE 270/3・Easy chair.GE 330・Easy chair.GE 330A・Sofa.GE 330/2A & 3A・Stool.GE 330S・Armchair. GE 201・Daybed.GE 6・Daybed.GE 7・Daybed.GE 77・Daybed.GE 19・Daybed.GE 20・Flag Halyard Chair.GE 225・Easy chair.FH 1936・Sofa.FH 1935・Coffee table.FH 1937・The Chair.JH 503・Sewing table.AT 33・Bench.JH 589・Bench. JH 551をデザインする。
1951(37歳):第1回ルニング賞を受賞。 ミラノ・トリエンナーレでグランプリ受賞。サレスコが設立される。 Delfinstolen chair.JH510・Bear chair.AP19・Dining chair.CH 23・Easy chair.CH 25をデザインする。
1952(38歳): Heart Dining table.4602 & Chair.FH 4103・Easy chair.CH 28・Dining chair.CH 29・Dining chair.CH 30・Cowhorn Chair.JH 505をデザインする。
1953(39歳):ウェグナーによる家具の海外輸出が急増。妻インガとアメリカ、メキシコに3カ月の研修旅行。Tub Chair.JH 530・Dining chair JH 1, HM) prototype, (JH) Bench.JH 574・Coffee table.GE 510・Sofa.GE 290/2&GE290/3・Easy chair.GE 290・Easy chair.GE 290A・Stool.GE 290・Valet Chair.JH 250をデザインする。
1954(40歳):ミラノトリエンナーレでゴールドメダル受賞。Armchair.GE 181・Stool.AP 29・Daybed.GE 258・Daybed.GE 259・Daybed.GE 261・Trolley.AT45をデザインする。
1955(41歳):Easy chair.CH 27・Sofa.GE240/3&GE240/2・Easy chair.GE240・Stool.GE 240・Sofa.GE235/4&GE235/3・Sofa.GE236/4&GE236/3・Sofa.GE300/4&GE300/3&GE300/2・Easy chair.GE300・Swivel chair.JH 502・Easy chair.PP 112・Dining table.AT 85/180&.AT85/160・Desk.AT305・Coffee table.AT 7・Coffee table.AT 11・Coffee table.AT 22・Coffee table.AT 24をデザインする。
1956(42歳):Easy chair.knibetang・Bar Cube・Fruit dish.JH 586をデザインする。
1957(43歳):Easy chair.JH 34・Sofa AP 34/2 & AP 34/3をデザインする。
1958(44歳):Deck chair.JH 524・Kastrap chair.AP 37・Kastrap chair.AP 38・Kastrap chair.AP 40・Airport chair.58・stool.AP41・stool.AP42・Kastrap table.FS500・Dining chair.CH 31・Dining chair.CH 33をデザインする。
1959(45歳): キャビネットメーカーズギルド展で、 アニュアルプライズを受賞。Easy chair.JH 517Bukkestolen・stool.AP39をデザインする。
1960(46歳):ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンによるアメリカ大統領選挙候補のテレビ討論会で、The chiar.JH501が使用される。Swivel chair.JH 57・Coffee table.JH 516・Conference table.JH 520・Table.JH 525・Conference table.JH 600Ox Chair.AP46・Armchair.AP 50・Easy Chair.AP 53・Easy Chair.AP 54・Stool.AP 55・Stool.AP 56・Stool.AP 57・Armchair.CH 34・Armchair.CH 35・Hammock Chair.GE 135をデザインする。
1961(47歳):コペンハーゲン郊外のゲントフテに自邸を建てる。Book case.RY 100・Bull Chair.JH 518, Easy chair.JH 713 をデザインする。
1962(48歳):コペンハーゲン郊外のゲントフテに自邸を建てる。Conference table.JH 608・Conference chair.JH513・Pendant lamp.JH 604 S・Dining chair.CH 36・Arm chair.CH 37をデザインする。
1963(49歳):Shell chair(JH prototype)・Dining chair.CH 38・Arm chair.CH 39をデザインする。
1965(51歳):Arm Chair, JH 701・Conference table.JH 714・Dining Table.JH 726・Dining Table.JH 752・Conference chair.AP 51・Dining chair.CH 43・Easy chair.CH 44・Rocking chair.CH 45・Armchair. CH 46・Armchair. CH 47・Armchair. CH 48・Diningchair. CH 49・Armchair. CH 50・Diningchair. CH 51・Armchair. CH 52・Stool.CH 53・Stool.CH 54・Double bed.GE 701・Bed.GE 705をデザインする。
1966(52歳):キャビネットメーカーズギルド展が消滅したことでヨハネスハンセンとの協力関係が薄まる。
1967(53歳):Armchair.GE 150・Easy chair.GE 151・Easy chair.GE 460・Rocking chair. GE 673・Pendant lamp.LP16593をデザインする。
1968(54歳):サレスコとの協力関係を解消する。Armchair.JH 811・Easy chair.JH 812・Coffee table.GE 20・Coffee table.GE 57・Coffee table.GE 58・Desk.GE 125・Book case.GE 310/1&GE 310/2&GE 310/3をデザインする。
1969(55歳):Sofa.GE 370・Sofa.GE 375・Dining chair.PP 201・Dining chair.PP 203をデザインする。
1970(56歳):Easy chair.JH 801・Sofa.JH 802・Sofa.JH 803・Coffee table.JH 805・Coffee table.JH 806・Coffee table.JH 807・Coffee table.JH 808・Table.JH 809・Table.JH 810・Chair.GE 420・Chair.GE 421・ Sofa.GE 40/2&GE 40/3・Easy chair.GE 40・Easy chair.GE 530・Easy chair.GE 530A・Sofa GE 530/2&530/3・Table GE 601・Try table GE 453をデザインする。
1972(58歳):Sofa.GE 50/2 Sofa.GE 50/3・Easy chair.GE 50・Sofa.GE 55/2 Sofa.GE 55/3・Easy chair.GE 55・Arm chair.PP204・PP205・PP208・PP209をデザインする。
1973(59歳):Theatre chair.GE 30をデザインする。
1974(60歳):Armchair.JH 250をデザインする。
1975(61歳):Chair.GE 211・Chair.GE 212・Chair.GE 213・Chair.GE 214・Chair.GE 72 Easy chair.GE 215・Easy chair.GE 215A・Easy chair.GE 220・Easy chair.GE 220A・Easy chair.GE 73・Bedside table.GE 905.(RY)・Sofa.GE 220/2・Sofa.GE 220/3・Bed.GE 900.RY・Table.PP 80/140・Armchair.PP 63・Chair.PP 60・Chair.PP 50・Armchair.PP 52・Armchair.PP 53・Armchair.PP 62・Table.PP 80/95・Table.PP 70/140・Table.PP 70/154・Table.PP 70/126をデザインする。
1976(62歳):Chair.PP-90・Armchair.PP-55・Table.GE-208・Stackable chair.-GE-209・Stackable chair.GE-210・Lamp(LP)をデザインする。
1977(63歳):Sideboard.JH-810(SM)・Book case.JH-810(OR)・Sideboard.JH-810(BM)・Table.PP-40(AT)・Offee table.PP-30(AT)をデザインする。
1978(64歳):Sofa.GE-265/2・Sofa.GE-265/3・Pendel/Pendant lamp.Opala.(LP)・Table lamp.(LP)・Floor lamp(LP)・Easy chair.GE-265・Easy chair.GE-265A・Stool.GE-265Sをデザインする。
1982(68歳):C.F. Hansen Medal 受賞。
1993(79歳):現役引退。
1995(81歳):故郷トナーにウェグナー博物館が開館。
1999(85歳):現役を引退していたが、2000年に創業100周年を迎えるゲタマのために
センチュリー2000シリーズをデザインする。
2007(92歳):逝去(1月26日)
年表を読み解いていくとウェグナーの黄金期はルニング賞を受賞し、ザチェアJH503を発表した1950年~1965年頃と言えるでしょう。1951年にはサレスコが結成し、海外の輸出も活発になります。それはデンマーク家具の黄金期にも重なります。
初めて椅子をデザインした1938年からも才能の片鱗は見られますが、黄金期に比べるとデザインの核が確立されていないように感じます。1965年以降も多くのデザインをしていますが、黄金期の作品に比べると際立った良いデザインが少ないように思えます。
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